NAURON'S DIARY

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論理的思考能力の重要性とその鍛え方

最近、巷で論理的思考能力(ロジカルシンキング)について、たくさんの本を見かけることであろう。

論理的思考能力とは何だろうか?

こんな疑問を解消するために今回、記事を書いた。

まず、論理的思考能力について理解していく前に、論理的思考能力の重要性について解いて行くことにする。

では、一体なぜ、論理的思考能力は重要なのだろうか?

 

論理的思考能力の重要性

ビジネスパーソンが自ら成長させるためには、何を学び、身に付け、鍛えるべきなのだろうか?

よく挙げられるのが、ビジネススクールなとで学ぶことができるような、いわゆる「即戦力」だ。しかし、私はこのような「即戦力」を学ぶ前に、身に付けるものがあると考えている。

それは、「即戦力」とは言い難いが、長期的に見て大きく成長するために必要な能力である「論理的思考能力」である。

これは、一言でいうと物事を理性(ratio)を用いて合理的(rational)に理解し、考え、知識や情報を扱う能力である。

 

では一体、なぜ論理的思考能力を身に付けることが必要なのであろうか?

その理由は、大きく分けて2つある。

 

1. 論理的に物事を考えられないと何事に対しても正しく理解できないから。

まず、1つは論理的に物事を考えることができなければ何事に対しても正しく理解し、知識を吸収できないからである。

都合の良い解釈をしたり、一読して「何となくわかった気」になってしまう。あるいは、何回も読んでも内容が身に付かない。

物事を正しく理解できなければ、知識や情報をインプットができない。また、思うようなアウトプットもできない。

つまり、論理的思考能力は全ての学習において基礎的なものであると言える。

 

2. この近代世界が論理の力で動いているから。

もう1つの理由は、この近代世界が基本的にヨーロッパ発の論理の力で動いているからである。

ヨーロッパでは、何かを考えるとき、何か行動を起こすときは必ず「何をめざすか」「何を終わりとするか」という目的を先に設定し、その後、目的にたどり着くまでの道筋を組み立てていく、いわゆる「目的論(teleology)」という考え方がベーシックになっている。

しかし、この目的論的な物の考え方はヨーロッパから伝播し、今では世界のベーシックな考え方にまでなっている。

 もっとも、日本では論理や理屈よりも「情」を尊きものとする文化が今でも根強く残っている。こういった「情」が有効的に働く場面もあるが、残念ながらこれは世界を動かすベーシックな力学ではない。

世の中には論理や理屈に還元できない事象もあるが、なるべく還元し、それをベースに物事を進めようというのが、近代世界のルールなのだ。であれば、この「論理的思考能力」を鍛え、身に付けることはビジネスパーソンにとって必須であるといえよう。

 論理的思考能力の重要性を十分に理解した上で、次に本題にもある「論理的思考能力の鍛え方」について解説していく。

 
論理的思考能力の鍛え方

まず、その前に「論理的思考」の定義について述べることにする。

論理的思考とは、

人間の思考様式の一つ。行動的直観的思考に対置される。概念的手段,特に言語を用いる論理法則に適合した考え方,とりわけ推論的考え方をいうが,その過程は必ずしも意識されているとはかぎらない。

つまり、論理的思考とは、自身で物事を順序付け考える(思考力と構成力の総体)ということである。

また、以下の5つの言葉を意識することで自然と論理的思考能力を身に付けることができる。(論理的思考能力は身に付けるではなく、鍛え、そして自然と身に付くものである。)

1.「要するにどういうこと?」
2.「例えばどういうこと?」
3.「他にはどんなことがあるの?」
4.「なぜなの?」
5.「どうすればいい?」 

ここから、上記の5つの言葉について、それぞれの効用を説明していく。

1.「要するにどういうこと?」― In a word ?

これは、具体的な話をまとめさせるときに使う。普段から「要するにどういうこと?」を意識することで、具体から抽象へ想像する能力が身に付くのだ。

2.「例えばどういうこと?」―For example ?

これは、抽象的な話からわかりやすく具体的に説明するときに使う。普段から「例えば?」を意識することで、相手にわかりやすく伝えるための具体例を考えるようになるのだ。

この「要するに?」⇔「例えば?」とは、言い換えると「抽象化」と「具体化」とも言える。この「抽象化」と「具体化」は論理的思考能力を身に付ける上ではとても重要である。なぜなら、これだけでもわかりやすい話ができ、論理的になってしまうからだ。

いわゆる、賢い人というのは抽象的な話を理解する能力がある人である。このように、抽象化と具体化の訓練をすることで、そのような能力を身に付けることができるのだ。

3.「他には?」―In addition ?

これは、話題を水平展開していく時に使う。例えば、話があまりに抽象的すぎる時に、「例えば?」と言って具体化することができる。しかし、1つだけではなく、複数の例があると説得力を増すことができる。
これによって、語彙力や発想力を高めることができる。

4.「なぜ?」―Why ?

これは、言葉の理由や背景を考える時に使う。論理的思考能力を身に付けるためには、「なぜ?」は非常に重要なキーワードである。

「何?what」「誰?who」「いつ?when」「どこで?where」「どっち?which」だけでなく「なぜ?why」を入れると会話が本質的になっていく。

5.「どうすれば?」―How ?

これは、方法を問う時に使う。現実と未来を繋げるための、非常に重要なキーワードである。「どうすれば?」「どうしたい?」と問うことで、クリエイティブな力が出てくるのだ。

ロジカルな世界では、分析や表現ばかりが強調されがちだが、この「どうすれば?」「どうしたい?」と問うことで、クリエイティブな発想が生まれ、現実から未来を繋ぐことができるのだ。

 

以上の5つの言葉を紹介した。

これらの言葉(マジックワード)は勉強面だけではなく、実生活でも役に立つだろう。

また、訓練を重ねることによって具体と抽象の往復ができるようになるだけでなく、因果関係の説明や、今後のビジョンまで語ることができるようになるはずだ。

 

論理的思考能力は、読書やお金をかけてセミナーなどで特別に訓練することもできる。

しかし、普段の日常生活の中で読書やセミナーなどを過ごす時間よりも、日常会話をする時間の方が相対的に多いはずである。

とすれば、日常会話で訓練する方が費用対効果の側面から見ても効果的であると同時に、時間の有効活用という観点から見ても効率的であると考えられる。

ゆえに、日常会話での〝さり気ない〟やり取りを私はお勧めする。